天然記念物ヒブナの起源を解明

2022年10月21日

 ―クローン繁殖のはずなのにキンギョと交雑―

 

 京都大学大学院理学研究科 三品達平 博士課程学生(研究当時、現:理化学研究所)、渡辺勝敏 同准教授、釧路市立博物館 野本和宏 学芸員、美幌博物館 町田善康 学芸員を中心とした共同研究グループは、北海道の春採湖などに生息する緋色のフナ、「ヒブナ」の起源を解明しました。

本成果は、2022年10月21日に国際学術誌「PLOS ONE」にオンライン掲載されます。

 

 

 日本人に馴染み深い淡水魚であるフナ(ゲンゴロウブナやヨーロッパブナを除くフナ類の総称)には、雄と雌で繁殖をする2倍体とクローン繁殖をする3倍体の雌(クローンフナ)が共存しています。北海道では緋色のクローンフナ、「ヒブナ」が知られ、なかでも春採湖は「ヒブナ生息地」として天然記念物に指定されています。

 研究グループがヒブナの起源を遺伝子分析により調べたところ、ヒブナはクローンフナと約100年前に放流されたキンギョの交雑に由来することが明らかになりました。ヒブナは、一般的には他の個体と交配しないクローン繁殖をする生物が、稀な有性生殖を通じて多様化する過程を示した興味深い事例だと言えます。

 一方で、在来集団の遺伝的固有性を守るためにも、キンギョの放流やヒブナの拡散が起こらないように啓発していく必要があると考えられます。

 

【プレスリリース-ウェブサイト用-参考2】天然記念物ヒブナの起源を解明―クローン繁殖のはずなのにキンギョと交雑―.pdf(2MB)

 

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